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5月8日 JAAMメールマガジン 第35号

一般社団法人日本アセットマネジメント協会 JAAMメールマガジン 2020.05.08 発行

■今回の記事一覧

  1. コラム「アセットマネジメント 四方山話(3)~ISO 55001と地域・都市マネジメント~」
  2. イベント情報
    ○「タウンアセットマネージャー養成プログラム」の開催
    (2020年5月12日(火)~7月28日(火) 計4回)
    ○第4回JAAM研究・実践発表会(2020年11月20日(金))


【コラム】

前回のコラムでは、「世代を超えて社会を引き継ぐために必要なコストを現在世代は(そのころ寿命が尽きている自分たちにインセンティヴがないにもかかわらず、社会保障費の見直しや消費税増税を)自発的に負担するようになるのか(行動するのか)」を社会課題として問う図書についてご紹介しました。そして、どのようにすれば現在世代が行動するようになるのかが課題であることを述べました。
上記の社会課題の文章中に「社会を引き継ぐ」とありますが、どのような「社会」を引き継ぐべき具体像に据えればよいのでしょう。骨太方針では「600兆円経済の実現」のための基本方針が示され、その指標はGDPとなっています。ご承知のようにGDPは「市場において取引された財・サービスの付加価値の規模」であり、市場を経由しない暮らしの質の向上や低下は考慮されません(例えば、大気汚染によっておいしい空気が失われたりすることはGDPから控除されるわけではありません)。GDPの増加は必ずしも、いわゆる「豊かさ」につながるものばかりではなく、往々にして経済成長にかき消されがちなのが「豊かさ」の領域だとも言えます。
既に人口減少下の今日、経済成長と同時に、GDPにカウントされない領域、すなわち幸福感、豊かさを修復・創造するという活動が今後一層重要な領域になると私は考えています。ではGPDで計測できない「豊かさ」とは何でしょう。
トーマス・セドラチェクの「善と悪の経済学」(2015.5,東洋経済新報社)では、4千年以上も前に遡り、経済学の変遷を示しながら、「物質的繁栄がもたらす幸福を躍起になって追い求めるのはやめる」ことを勧め、それとは異なる「価値」の重要性について論じています。同書では善悪観に基づく経済学の分類を試み、以下のような図を示しています(同書p359の図に加筆して作成)。

善悪観に基づく経済学の分類

図の左端は善と効用をきっぱりと切り離したカントが位置付けられ、その対極には「個人が不誠実になるほど国家や制度にとっては好ましい」とするマンデヴィルがあるとしています。マンデヴィルの考えは裏を返せば「善が増えれば社会は衰退する」ということになります。中央の功利主義は「最大多数の最大幸福」を唱え、けっして利己的ではなく全体の幸福を個人の幸福の上位に位置付ける考えです。ある人の効用が減っても、全体の効用がそれ以上に増えるのであれば、その人は全体(または別の人)の利益のために、よろこんで自分の効用の縮小を受け入れるというもので、前回のコラムで取り上げた「ライフボート」の状況であれば、進んで下船する(海に飛び込む)人や社会の考え方になります。そして現在の主流派経済学の人間観は、功利主義よりマンデヴィル側にあるされ、「様々な思想の寄せ集めで、市場の見えざる手が個人の悪を全体幸福に変えるのだから、個人の倫理にはかかわらない立場をとっているとしている」としています。こうした考え方が基調にあると仮定すると、このままでは、冒頭に示した日本が直面している課題解決に出口がなくなってしまうことになります。社会を引き継ぐためには、社会の在り方を変えねばならないことになります。

人口減少が進み、前回コラムのような状況にある今日、「経済的な豊かさ」から、多様な「よい暮らし」「善き人生・社会」の在り方をそれぞれの(国より小さな単位の)地域で議論をし、形作ることが求められています。ただその在り方は、ぼんやりとしたものではなく、方針を立て目標として何かしら指標化され、計画を立てられることが望ましく、こうした分野での経済学の活用を期待しているし、研究のテーマになりうると捉えています。
この問題をアセットマネジメントの観点から眺めてみましょう。アセットマネジメントとは「アセットからの価値を実現するための組織の調整された活動」とされています。ここでいう「価値」と何か。ISO 55000「2.2 アセットマネジメントの便益」では、「価値を構成するものは,これらの目標,組織の性質及び目的並びにそのステークホルダーのニーズ及び期待による。」とされ、続けて「アセットマネジメントの便益は、次の事項を含み得るが、それらに限定されるものではない。」とし、以下の項目が列挙されています。
a) 財務パフォーマンスの改善
b) 情報に基づいたアセットの投資決定
c) リスクの管理
d) サービス及びアウトプットの改善
e) 社会的責任の実証
f) コンプライアンスの実証
g) 評判の向上
h) 組織の持続可能性の改善
i) 効率性及び有効性の改善

上記e)項を「よい暮らし」「善き人生・社会」における社会的責任と理解して取り組むこともできます。なんとISO55001はオールマイティーなのでしょうか。具体な取り組みは非常にハードルが高いですが、だからこそ政策的選択に間違が許されない人口オーナス期の地域・都市マネジメントへのISO 55001の展開・活用への期待が高まっていると考えています。

(次号につづく)

(日本アセットマネジメント協会理事 水野 高志)

■【イベント情報】

○「タウンアセットマネージャー養成プログラム」の開催

日本アセットマネジメント協会(JAAM)では、地方創生の深化に向けて、地域資産を活用したまちづくりを担う人材を育成するため、社会人を対象とした「タウンアセットマネージャー養成プログラム」を令和2年度より開講いたします。
少子高齢化や人口減少の時代を迎え、地域を支えてきた老朽化する地域資産(アセット)に対して、計画的に利活用を図るとともに、官民連携を通じて新たな価値を創造していくことが求められています。本プログラムは、このような地域資産を活用したまちづくりに大きく貢献できるタウンアセットマネージャーを養成することを目的としています。今後、官民連携によるまちづくりの分野で活躍することを志す社会人の積極的な参加を歓迎します。

受講期間: 2020年5月12日(火)~7月28日(火) 
計4回( 5/12(火), 5/26(火), 7/7(火), 7/28(火) )
受講会場: ・座学:一般社団法人 近畿建設協会(天満橋) B1 会議室
〒 540 6591 大阪府大阪市中央区大手前 1 7 31 OMM B1F
・現地視察:大阪府高石市
新型コロナウイルス感染症防止に配慮した方法で実施しますので、奮ってご応募ください。

詳細情報、お申込みは、以下URLをご参照ください。

https://www.ja-am.or.jp/seminar_lecture/pdf/town_asset-manager.pdf

○第4回JAAM研究・実践発表会(2020年11月20日(金))
JAAMでは、アセットマネジメントに関連する研究事例、実践事例等の幅広い知識・知見を、研究者、行政関係者、実務者、学生など多くの皆さまと共有するために、これまで3回の研究発表会を開催してきました。今般、この発表会の名称を改め、第4回JAAM研究・実践発表会として下記のとおり開催することとなりました。

第4回JAAM研究・実践発表会では、従来に増して多くの方にご投稿・参加いただけるよう、企業や地方公共団体におけるアセットマネジメントへの取組み等の実践事例を広く募集します。また、ご投稿いただきやすくなるよう論文のページ数に関する条件を緩和しました。優秀な論文にはJAAM賞の授与を予定していますので、奮って論文投稿、また、ご参加ください。

期  日: 2020年11月20日(金)
場  所: ビジョンセンター田町
東京都港区芝5-31-19 ラウンドクロス田町4F
https://www.visioncenter.jp/tamachi/

詳細情報、お申込みは、以下URLをご参照ください。

https://www.ja-am.or.jp/research_publication/index.html

 


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