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アセットマネジメント(AM)の可能性

アセットマネジメントは、主に公共インフラに対して適用され、維持管理の効率化への需要の高まりや、運営の民間委託の流れの中で発展をしてきました。今後、活用が期待される分野として、下記のような分野が考えられています。

  1. 社会インフラの所有者・管理者、インフラを基盤として公共サービス
    上下水道、鉄道、道路、都市交通、電力、ガス、通信、空港、不動産など
  2. 資本集約的な産業および高付加価値型の産業
    鉱業、石油化学、製造業など
  3. 投資・金融機関
    REIT、インフラファンド、保険など
  4. サービス提供機関
    会計・監査法人、ソフトウェア、コンサルタントなど

具体的な例として以下でご紹介いたします。

1.PPP/PFI・アウトソーシング

PPP/PFIを初めとする、社会インフラ運営のアウトソーシングや民間開放は、我が国においても重要な政策に位置づけられ、今後、事業規模を大幅に増加させることが計画されています。しかしながら、これまで社会インフラアセットを保有し、その維持管理を行ってきた政府や自治体の立場からすれば、アセットマネジメントの実務の大部分を長期にわたって民間事業者に任せることに不安を感じるのは当然と言わざるを得ず、民間に任された業務に対して、アセット保有者が適切に関与し、管理できるような仕組みをあらかじめ整備しておくことが、PPP/PFIの推進にとって必要不可欠です。ISO 55001の中には、アウトソーシングに関する規定がありますが、PPP/PFIの拡大が進められている現在、この条項はISOの中でも特に注目すべき規定の一つと言えるでしょう。
また、アセット所有者がアウトソース先の民間企業を選定する際にも、ISO 55001の活用が考えられます。アウトソース先がISO 55001認証を取得しているということは、ISOに沿ったアセットマネジメントシステムを、組織の中に構築しているという証明になり、アセットマネジメントの質が担保されると同時に、アセット所有者のアセットマネジメントシステムの中に、アウトソースした活動を組み入れることが容易になります。このため、アセット所有者がアウトソース先を選定する際に、ISO 55001の認証取得を条件としたり、逆に、民間企業の方で、ISO 55001の認証取得を、入札の際にアピールするといった可能性も出てきます。
さらに、現在、アセットマネジメントの成熟度を評価する様々な手法や評価基準が提案されていますが、PPP/PFI事業契約の業務要求水準書において、この評価方法を利用して、サービス提供者の創意工夫を活かしながら、アセットマネジメントのレベルを高めていくという方法が検討され、海外においては実際に適用されています。

2.会計・資産評価市場

我が国の会計制度においては、確定決算主義のもと、会計と課税所得との連動性を重視し、取得価額への減価償却をベースとした簿価を採用するのが一般的ですが、世界的には、M&Aやアセットファイナンスの発展を背景に、時価会計への動きが加速しており、国際財務報告基準IFRS(International Financial reporting Standards)が推進する公正価値(フェアバリュー)に基づく会計アプローチをバックアップするために、インフラアセットに対しても、適切に価値を評価する手法が検討されています。ISO 55000シリーズでも、「アセットマネジメントは、アセットそのものに着目することはしないが、アセットが組織に提供することができる価値に着目する」(ISO 55000 2.4.2)とあるとおり、アセットマネジメントとはまさにアセットの価値を高めることであり、アセットマネジメントの導入によって、組織が保有する資産の価値を高め、財務パフォーマンスを高めることが期待できます。また、「フェアバリュー」の観点から、アセットの価値を評価し、高めるような手法の検討においても、アセットマネジメントの考え方が適用できる部分は大きいと考えられています。

3.企業不動産市場

不動産の分野では、企業・組織の有する不動産を経営管理の対象として認識し、企業価値向上の観点から経営戦略的視点に立って不動産の管理を行おうとする、CRE(Corporate Real Estate)戦略というコンセプトが、近年注目を集めています。「物理的側面からの不動産管理だけでなく、不動産に係る経営形態そのものについても見直しを行い、必要な場合には組織や会社自体の再編も行うとともに、不動産に投資する場合も、その投資が企業全体の価値向上に資するか否かの観点に立って、あらかじめ設定したハードルレートや評価手法に従って、あらかじめ設定したハードルレートや評価手法に従って評価し、定められたガバナンスに従い決定する、というように、常に経営戦略と一体となった不動産に係る戦略的マネジメント」(企業不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(CRE研究会)報告書(2007)より抜粋)と定義されているCRE戦略は、不動産を対象としたアセットマネジメントそのものであると言え、アセットマネジメントやISO 55000シリーズのコンセプトが適用可能です。

4.保険・金融市場

アセットマネジメントの便益として、ISO 55000に「財務損失を低減し、安全衛生、信用及び評判を改善し、環境及び社会的影響を最小化することは、保険料金、罰金及び罰則のような負担を軽減するという結果になり得る」とあるように、保険会社から見た場合、保険契約先である顧客が有効なアセットマネジメントシステムを構築し、リスクに適切に対処していると判断できる場合、そうではない企業に比べて相対的に事故や災害による損害の可能性が小さいと判断できるため、保険料を優遇することが可能になります。同様に、金融機関にとっても、アセットを適切に管理し、健全な経営を行っていると判断できる企業は、貸し倒れのリスクが相対的に小さく、その分金利を優遇することが可能です。実際に、いくつかの損害保険会社や銀行などで、事業継続計画(BCP:Business Contingency Plan)を策定している企業を対象に、保険料や金利を優遇するような商品が提供されています。現在は、顧客企業・組織が策定する事業継続計画が本当に有効に機能するかどうか、保険会社や金融機関が判断をする必要があり、これにかかるコストのために、保険料や金利の優遇が小さくなったり、審査に時間がかかったりして、顧客がこのような商品を利用するインセンティブの低下につながっていますが、例えば、スクリーニング基準としてISO 55001認証を利用することにより、信用評価コストと時間を大幅に削減させることが期待できます。