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2月10日 JAAMメールマガジン 第32号

一般社団法人日本アセットマネジメント協会 JAAMメールマガジン 2020.2.10 発行

■今回の記事一覧

  1. コラム「プラントのアセットマネジメント(4)」


【コラム】

「プラントのアセットマネジメント(4)」

前回は、加工組立型の工場での設備面でのロスについてご紹介しました。

今回は、プロセス型の工場では、加工組立型の工場での設備総合効率の考え方に倣い、プラント総合効率という評価指標が用いられています。

加工組立型の工場における7大ロスのように、プロセス型の工場では、装置の8大ロスというものが考えられています。以下に8大ロスとその定義をご紹介します。
1)シャットダウンロス
年間保全計画によるシャットダウン工事、および定期整備などによる休止時間ロス
2)生産調整ロス
需給関係による生産計画上の調整時間ロス
3)設備故障ロス
設備、機器が規定の機能を失い、突発的に停止するロス時間
4)プロセス故障ロス
工程内での取扱い物質の物性や、化学的、物理的その他操作ミスなどでプラントが停止するロス
5)定常生産ロス
プラントのスタート、停止および切替えのために発生するロス
6)非定常生産ロス
プラントの不具合、異常のため生産レートをダウンさせた性能ロス
7)品質不良ロス
不良品を作り出しているロスと廃却品の物的ロス、2級品格下げロス
8)再加工ロス
工程バックによるリサイクルロス

プラントの効率化を阻害している8大ロスをもとに、装置型産業での「設備の利用の度合を示す」指標として用いられているものが「プラント総合効率」です。
「プラント総合効率」の計算は、操業時間に対して設備が停止したロスの大きさを「時間稼働率」、稼働時間に対して生産レートが低下したロスの大きさを「性能稼働率」、不良ロスの大きさを「良品率」で示し、この「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」を掛け合わせたものを「プラント総合効率」と呼んでいます。

プロセス型の工場においては、プラント総合効率という指標を用いながら、設備管理・保全の仕組みに「MOSMS」(Maintenance Optimum Strategic Management System : 戦略的保全マネジメントシステム)の活用が進められています。
MOSMSは、経営視点の保全、保全を意識した経営を提案し、プラントでのアセットマネジメントを実現するツールとして導入が図られています。

MOSMSでの計画保全のモデルは、ISO 55000シリーズの取り組みと極めて似ています。特徴的な違いを挙げるならば、監査システムの扱いです。MOSMSは、自律的な自社での取り組みの仕組み構築を指し示しており、外部監査を前提としたISOとはこの点が大きな違いです。MOSMSにおいてもステークホルダーのニーズを確認しつつ活用できる経営資源をどのように活用するのか、階層構造となっているPDCAのマネジメントサイクルをまわして組織目標を達成していくという考え方はISO 55000シリーズの内容と同じものです。

また、日本アセットマネジメント協会(JAAM)がISO 55000シリーズでの取り組みに関する「成熟度評価」の優れたガイドブック(『実務者のためのアセットマネジメントプロセスと成熟度評価』)を発行しているのと同様に、日本プラントメンテナンス協会では「保全水準評価プログラム」にて5段階評価基準を公表しています。この保全水準評価プログラムは、設備ユーザー(オーナー)の視点から果たすべき保全の機能と仕組みを体系化し、設備ユーザーとして果たすべき保全の水準を診るものとしてプログラムされています。

業務の一部を請負うまたは委託されるアウトソーサー(メンテナンス・サービス会社、設備メーカー等)においては、保全水準評価の基準内容が、顧客である設備ユーザーの管理視点を十分に理解し、これに応える視点を得ること、また元請け等として下請けに業務を委託する折り等に、どのような管理視点を持てばよいのか等において、参考となるものとして利用が進められています。

アセットをマネジメントする方法論として製造業とりわけ装置産業ではISO 55000と同じような考え方が適用・実施されており、製造工場(アセット)の価値の最大化や継続的改善を実施する際に用いられ、ステークホルダーへアセットの持つ価値や効用の提供を最大化する考え方が実施されています。

製造業に限らず、IoT、インダストリー4.0やソサエティ4.0という高度化されたシステムが我々の生活基盤に入り込んできている今日では、有形か無形かを問わず、あらゆる分野のアセットに対して、アセットを活用する仕組み・評価基準としてISO 55000シリーズの活用が、ますます必須な考え方になってきたといえます。

おわり

(日本アセットマネジメント協会理事 中村努)


発行元: 一般社団法人 日本アセットマネジメント協会(JAAM)
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