JAAM日本アセットマネジメント協会

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4月8日 JAAMメールマガジン 第34号

一般社団法人日本アセットマネジメント協会 JAAMメールマガジン 2020.04.08 発行

■今回の記事一覧

  1. コラム「アセットマネジメント 四方山話(2)」
  2. アセットマネジメントシステム関連情報
    〇「太陽光発電アセットマネジメントガイドライン(案)」を発行しました
  3. イベント情報
    ○「タウンアセットマネージャー養成プログラム」の開催
    (2020年5月12日(火)~7月28日(火) 計4回)


【コラム】

「アセットマネジメント 四方山話(2)~ポートフォリオを日本としたら?~ 」

今回は昨年読んだ本の中で最も印象に残った図書(※1)の一部を題材としてお届けします(※2)。
その本の中で以下の図が紹介されています。この図は平成26年4月に財政制度等審議会財政制度分科会で報告された資料の中に示されたものです。この図の縦軸は、一般政府(国、地方及び社会保障基金)の債務残高の対GDP比(債務残高がGDPの何%になるか)を示していて、上記資料では以下のように解説されています。

①黒の点線(ベースライン)は、今後50年程度(2060年度まで)の間、収支改善を行わず、現行の制度・施策を前提とした場合、高齢化に伴う「年齢関係支出」の増加と金利・成長率格差により、一般政府の債務残高対GDP比は急速に膨張(発散)する。
②緑色の実線は、2060年度までに債務残高の対GDP比が100%となるよう2021~2026年度の6年間に段階的に収支改善を行った場合(S1)を示し、対GDP比で14.05%の恒久的な収支改善が必要。

(出典)「我が国の財政に関する長期推計」平成26年4月28日,起草検討委員提出資料より

この試算結果の意味ですが、上記①は、このまま財政改革(一番大きな課題は社会保障費の見直し)をしないと、2050年に至る前に債務残高はGDPの500%(5倍)になってしまう、つまりは日本が財政破綻するというシナリオを示しています。日本国民の総金融資産は1800兆円くらいですので、実際には300%程度が上限で、もう目の前に迫っていることになります。
 上記②は日本の財政破綻を防ぎ、健全化(2060年に債務残高を対GDP比100%に)するためには財政収支を対GDP比で14.05%削減する必要があるとしています。例えば2017年度の名目GDPが547兆円なので、14.05%は約77兆円に相当します。しかしながら、日本の政府予算が約100兆円なので、国だけでカバーしようとした場合、毎年77兆円も節約した予算など組めるはずがありません。
そうなると残された他の方法には何があるでしょう?一つは、消費税の増税です。消費税1%は税収で約2.5兆円にあたるので、消費税をさらに約30%引き上げるとこの77兆円をカバーできることになります。これも国民との合意という面では直ちに実現は難しいでしょう(ちなみに世界で最も高いのはハンガリーの27%、スウェーデンやデンマークは25%です)。もう一つは2060年にGDPを今の債務残高(2019.10推計で1,325兆円)まで成長させる。これも骨太方針で600兆円経済を目指していることを踏まえると全く現実味がありません。最後はインフレにして、今の政府債務を100%相当にしてしまう方法です。1,325兆円の借金を550兆円相当にするには物価を2.4倍にすれば計算上成立しますが、こうしたハイパーインフレは日本の破綻と同じ意味になるので選択肢としてあり得ません。
このように、日本は非常に重要な局面にあるとしています。ありうる選択肢は、「人口が減っても力強い経済成長を図り、最も負担の大きな課題の社会保障費の見直しを進めつつ、国民理解を得ながら消費税を上げる、そしてそれらには直ちに取り組まないといけない」ということになると思います。骨太方針もそうなっていますね。
この問題をアセットマネジメントの考え方で眺めてみましょう。日本の経済成長を下支えする重要な装置としてインフラをポートフォリオに据えて取り組むことも必要なアセットマネジメントですが、「日本」をポートフォリオに据えてアセットマネジメントの視点から分析するとどうでしょう。日本の「リスクおよび機会」、日本の「ステークホルダーの期待」、日本の「力量の確保」、日本の「予測対応処理」・・・、こうした視点から日本の現状が客観化され、示唆に富むさまざまな議論ができるように感じます。
この中で「リスクおよび機会」はこの本と親和性の高いキーワードです。この本のメインテーマは「世代間のライフボート・ジレンマの解決」です。ライフボート・ジレンマとは、原著を引用すると「数名の人々が救命ボート(ライフボート)に乗って大海原を漂流している。ボートは沈み始めており、乗船員のうちの一人が退船すれば(すなわち一人が犠牲になれば)ボートは沈没を免れて残りの乗船員は全員助かる、しかし、もし誰も退船しなければ、沈没して全員が死ぬ」という状況を示しています。他の全員の将来のために海に飛び込んだ一人は何の利益も得られない。そうした行動は起きるのか?
2060年は今から40年後ですから、今の20代の若者もその(日本の財政破綻の)影響(=リスク)を受ける世代になりますが、そこを救わないとさらに将来はありません。「世代を超えて社会を引き継ぐために必要なコストを現在世代は(そのころ寿命が尽きている自分たちにインセンティヴがないにもかかわらず、社会保障費の見直しや消費税増税を)自発的に負担するようになるのか(行動するのか)」を問うています。そしてこの問題解決に対しては、現在世代が今行動すること(=機会)を求めています。
アセットマネジメントも計画を作り、実行しないと意味がありませんが、利害関係者にインセンティヴがないとうまく動き始めません。多くの国民がアセットマネジメントの重要性を知り、行動してもらうには、危機を煽るだけではなくインセンティヴも必要なのです。理解している者だけが闇雲に邁進するだけでは意味がありません。それが果たして何なのか?難しい課題です。
※1:小林慶一郎著「時間の経済学」(2019.3,ミネルヴァ書房)
※2:原著に説明を加えたり、数値を加えたりしています。

(次号につづく)

(日本アセットマネジメント協会理事 水野 高志)

■【アセットマネジメントシステム関連情報】

○「太陽光発電アセットマネジメントガイドライン(案)」を発行しました 太陽光発電事業は、固定価格買取制度(FIT法)などにより、全国的にさまざまな規模・形態で急激に発展をしています。関係省庁や関係団体等によって、事業者向けのガイドラインが、数多く策定されていますが、太陽光発電事業のライフサイクルを通じたマネジメントガイドラインはこれまでありませんでした。こうしたことから、JAAMでは会員であるさまざまな事業関係者からなる「太陽光アセットマネジメント委員会」を立ち上げ、経済産業省や関係団体のご助言を得て、この度、「太陽光発電アセットマネジメントガイドライン(案)」を取りまとめました。 詳細情報は、以下URLをご参照ください。

https://www.ja-am.or.jp/solar_energy/jaam_solar_energy_guideline.pdf

■【イベント情報】

○「タウンアセットマネージャー養成プログラム」の開催

日本アセットマネジメント協会(JAAM)では、地方創生の深化に向けて、地域資産を活用したまちづくりを担う人材を育成するため、社会人を対象とした「タウンアセットマネージャー養成プログラム」を令和2年度より開講いたします。
少子高齢化や人口減少の時代を迎え、地域を支えてきた老朽化する地域資産(アセット)に対して、計画的に利活用を図るとともに、官民連携を通じて新たな価値を創造していくことが求められています。本プログラムは、このような地域資産を活用したまちづくりに大きく貢献できるタウンアセットマネージャーを養成することを目的としています。今後、官民連携によるまちづくりの分野で活躍することを志す社会人の積極的な参加を歓迎します。

受講期間: 2020年5月12日(火)~7月28日(火) 
計4回( 5/12(火), 5/26(火), 7/7(火), 7/28(火) )
受講会場: ・座学:一般社団法人 近畿建設協会(天満橋) B1 会議室
〒 540 6591 大阪府大阪市中央区大手前 1 7 31 OMM B1F
・現地視察:大阪府高石市
新型コロナウイルス感染症防止に配慮した方法で実施しますので、奮ってご応募ください。

詳細情報、お申込みは、以下URLをご参照ください。

https://www.ja-am.or.jp/seminar_lecture/pdf/town_asset-manager.pdf


発行元: 一般社団法人 日本アセットマネジメント協会(JAAM)
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